2013-03-09

農地奪った村長追い出した 腐敗批判、直接選挙求める 中国・広東省

襲撃した男たちが
乗り捨てていった車
中国広東省掲陽市上浦村で、農地を勝手に売られたとして村民たちが村長にあたる村民委員会主任を追い出し、新村長の直接選挙を求めて村に立てこもる事態となっている。
 8日、記者が村に入ると、入り口には焼かれた乗用車など約30台が転がっていた。村民たちによると、先月22日、車70台とバイク100台に分乗した300~400人の男たちが突然村にきた。鉄パイプやシャベルを手に村の女性5、6人に無言で襲いかかった。約80人の村民たちが駆けつけ、丸太などで応戦。さらに多くが加勢すると、男たちは逃げた。村民6、7人がけがを負った。
 ■省政府に期待
 発端は村長が1月中旬、マフィアが黒幕とされる企業に村の農地を売ったことだった。村の幹部会議で出席サインを白紙に書かせ、売買契約書を上書きしたという。価格は相場の4分の1。村民たちは2月11日に汚職の疑いがあるとして村長を追及。村長は村を出た。男たちの襲撃はマフィア側によるものとみられる。
 村長は昨夏、村を管轄する地元政府から選挙を経ずに派遣された。地元政府は村長を解任。警察は今月1日、襲撃した男たちのうち8人を拘束したが、外部との接触を断つため、村につながる全ての道路は封鎖されている。
 ある男性村民(43)は「地元政府は腐敗してマフィアと結託している」と話す。
 北京で開かれている全国人民代表大会(全人代)の会期が終われば報復されると恐れる村民たちは、地元政府の職員や警察が村に入ることを拒否し、交代で襲撃の証拠となる現場を守っている。望むのは広東省政府からの連絡だ。
        朝日新聞(2013/3/9 朝刊)   → 「朝日新聞デジタル」のお申し込み