ウラジオストクの海沿いにある自動車学校「アニク」。
ロシアは日本と逆の右側通行だが、教習車のほとんどが右ハンドルの日本車だ。
ニコラエフ社長は「いずれトヨタに乗るから日本車で講習を との要望が強い」。
街を走る車の9割は日本車だ。
中古車販売上で知り合った40代の販売業者、サーシャさんは「日本車に乗れば道を譲りたくなる。車を通じて日本の礼儀も伝わる」と話した。
トラック運転手だった22年前、初めて日本車に乗り「別世界の乗り物だ」と感動した。1996年に船員になり、初めて行った鳥取県の境港で5万円で買ったホンダ車を持ち帰ると25万円で売れた。新品のロシア車より高性能で安い日本車は引く手あまただった。
日本からロシアへの中古車輸出はピークの2008年に50万台を記録。総輸出台数の半数近くを占め、ウラジオストクは日本車の一大輸入拠点になった。
サーシャさんは、「私たちは日本車のおかげで生き延びることができた」と話した。
「朝日新聞」(2013年1月31日朝刊)