北京では、せき込む子供が病院に詰めかけている。北京児童医院では31日、せきを和らげるため霧状の水分を吸引する治療室は廊下まで長い行列が出来た。
「熱もないのに、急にせき込み始めた」。0歳児を抱きかかえた父親は、いらだちを隠さなかった。「大気汚染が影響しているに違いない」と疑う。
看護主任は「今年は通院する子供が多い」。大気汚染との関係を指摘したうえで、「外に出ない子供ですら、気管支炎にかかってしまう」と語った。
北京で1月、PM2・5=キーワード=の測定値が、米大使館の基準で「危険」水準とされる1立方メートルあたり250マイクログラムを超えた日は15日以上。29日には一時、想定外に深刻な「計測外」の同500マイクログラムに達した。1月のスモッグ発生頻度は1954年以降の統計で最悪とされ、せきなどの症状を示した子供が多いという。
北京市東城区の薬局。PM2・5対策で、工事現場で粉じん除去の際に使われるマスクを買いに来た夫妻は、売り切れと告げられ、肩を落とした。
IT企業に勤める夫は「ネットでも売り切れ。普通のマスクで代用しているが、妻は昨日からせきが止まらなくなった」。北京育ちの妻は「経済発展を急いだつけだ」と話した。
「朝日新聞」(2013年2月1日朝刊)